ポリテクセンター関東 建築CAD・住環境コース
訓練の概要(訓練により習得できる技能)
建築業界では、居住環境や耐震性能、省エネなどの環境性能といった質の向上が求められています。顧客への説明、設計や施工などの様々な業務では、専門的なスキルが求められる一方で幅広い知識・技術を要します。住環境計画科では、主に業界未経験者の方が建築関連業種への再就職に向けての基礎を築くため、住宅を中心とした建築と設備についての知識・技術を習得し、設計から施工まで一貫した訓練を実施します。特に省エネや高齢化社会への対応、構造安全性・耐震補強など時代のニーズに即した知識・技術の習得に重点をおいています。
訓練全体(6ヶ月間)の目標人材像(訓練目標)
- 住環境を理解し、住宅改修の施工専門家と連携を取りながらクライアントに最適な住環境計画が提案できる。
- 住宅の省エネルギー化と住環境に対応したインテリア施工及びエコ電気設備施工ができる。
総訓練時間
- 669時間
訓練内容 「設計製図・CAD実習」「内装・設備施工実習(設備・断熱・内装)」など
1.「建築概要」
■内容
建築に関する基礎知識として、「建築知識(名称・用語など)」「建築関係法令」および「建築構造・構法」について学びます。用語や名称などを習得したのち建築図面の読図・製図技術を習得します。
■項目
・建築に関する基礎知識(構造、法規、確認申請・各種助成制度など)
・図面(木造、RC造、S造、設備)の読解
・設計製図(木造:平面図、立面図、矩計図、軸組図、各種伏図など)
※RC造:鉄筋コンクリート造
※S造:鉄骨造
2.「設計製図・CAD実習」
■内容
建築計画、構造計画、住宅性能評価制度などから建築の性能を向上させる知識や技術としてについて習得します。また住環境計画、設備計画から環境性能や省エネなどのエコについての知識や技術を習得し、建築と設備を総合的に計画・設計できる技術を習得します。
■項目
・建築計画、構造計画、住宅の性能評価
・住環境計画、設備計画、省エネルギー・環境に配慮した住宅設備
・設備プランニング
3.「CADによる設計実習」
■内容
汎用CADの操作技法を学び、CADによる作図実習を行います。
3か月の締めくくりの課題として、水まわり(便所、洗面・脱衣、浴室)、外構、リビングダイニングキッチンの「お客様ご提案課題」に取り組みます。
この課題を通じて習得した知識や技術を復習し、さらにプランニング手法や設備の配置計画、確認申請など実務設計に役立つ知識や技術について理解を深めていきます。
また前述の設計課題をもとにプレゼンテーション資料を作成しプレゼンテーション演習を行い、顧客提案技術も習得します。
■項目
・CADオペレーティング
・CAD製図
・プランニング(建築、設備)
・プレゼンテーション
■主な使用機器・使用ソフトウェア
・Auto CAD
・PowerPoint 他
4.「建築駆体施工実習(内装下地)」
■内容
模擬家屋の内装下地施工を行います。施工を実際に行うことで、前半3か月で習得した知識や技術の復習を行い、さらに架構や各種納まりを検討するための知識・技術を習得します。実際に現場で使用する資材や設備などを使用することにより現場ですぐに活かせる知識や技術の習得を目指しています。
施工実習で施工を行う物件については、実施設計を行います。内装および設備施工に必要な図面作成や仕様決定を行います。
■項目
・構造躯体と設備の納まりについて
・配管、配線設計
・仕様決定、インテリア計画
5.「設備施工実習(電気・給排水・衛生・空調)」
■内容
電気・給排水・空調の住宅設備に関する基礎知識、施工図や施工に関する技術を習得します。太陽光発電やオール電化、換気,冷暖房に関する省エネに関する知識や技術も習得します。
■項目
・電気設備工事(住宅配線・照明・オール電化・太陽光発電など)
・給排水・衛生設備
・空調設備
・設備施工図
6.「内装・設備施工実習(設備・断熱・内装)」
■内容
内装下地施工が終了した模擬家屋に対し、各種設備、断熱材施工と内装施工実習を行い実践的な施工技術を習得します。リフォームにも役立つ納まりや仕様変更についても実習を通して習得します。
■項目
・設備施工(電気・給排水・衛生設備・空調)
・断熱材施工
・内装施工
受講者の入所前の職種と修了後に就職した職種の例
当該訓練分野の経験が無い方でも、下記のような関連就職に就職されています。
(前職) (修了後の職種)
・事務職 → ・住宅改修相談・施工管理(高齢者向け)
・製造業 → ・CADオペレーター
・接客職 → ・施工管理
・事務職 → ・住宅営業
訓練に関する職種と仕事内容
主な職種
リフォームアドバイザー、建設施工管理、宅地・住宅設計、建物管理、住宅設備販売、住宅改修相談・施工管理、インテリアコーディネーター、ショールームアドバイザー、CADオペレーター、施工図作成ほか
訓練により就職可能な主な仕事
- リフォームや新築の住宅営業・相談
- 建築現場での施工管理
- CADオペレーター業務
- 建築や住宅設備の現場作業者
求人票に記載されている職種名
施工管理、リフォームアドバイザー、設計・設計補助、CADオペレーター、ショールームスタッフ、現場作業員(建築)、現場作業員(電気工事)、営業事務 等
就職後の仕事例(求人票より)
- 戸建住宅、マンションの改修工事及びリフォームの施工管理・設計監理
- 住宅設計補助
- お客様からの依頼に対するリフォームの提案営業
- ショールームにてお客様との仕様打合せ
- CADによる図面作成(施工図、意匠図等)
- 営業・建築部門の事務サポート
訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
住環境技術科では、建築とその住環境、住宅設備に関する広範な知識と技術を設計及び施工実習を通して習得します。この訓練内容を通して住宅建設のどの立場においても、様々な状況を把握し、考慮しながらより的確な業務ができる人材を養成します。
昨今のリフォーム業界では、設備機器の取換え、福祉面での改修など、様々な業種の知識を要する内容が需要の大部分を占めています。住宅を新築する際も同じです。様々な業界や職種の人が関わっています。そのすべての人が、「住宅」という一つの目的に向かって仕事をしています。新築・リフォーム問わず、様々な業種の知識をまんべんなく把握している人材が求められることは言うまでもありません。
修了生は住宅の営業職やCADオペレーター、施工者や施工管理職など様々なところで活躍されています。訓練で全体が見えていることにより、担当する業務だけでなく、様々な職種と連携し業務を行っています。施工実習から得た知識・技術は、ご提案やアフターメンテナンス等様々な業務で有効活用され、現場やお客さまともやり取りをすることができると就職先企業からも高い評価を得ています。
限られた時間内で行う訓練だけにとどまらず、自己研鑽においても、相談いただければできうる限りのサポートをいたします。