【職業訓練のコース選び】

職業訓練のコースとは

新しい仕事を始めたい方や、これから仕事を探そうという方が、業務に必要な知識・スキルを身に付けられるよう様々なコースが用意されています。

職業訓練校は国や自治体が主体となって運営しており、年間30万人に利用されています。職業訓練校の申込み等はハローワークで行います。

また近年は職業訓練の需要が増えていることもあり、各都道府県が専門学校や大学、資格の学校に委託をして職業訓練を実施する委託訓練も増加しています。

求職中の人に向けて、新たな仕事に就けるよう様々な訓練を通じて就職をサポートする場です。

基礎コースと実践コース

〈基礎コース〉

受講対象者社会人として身につける基本的なスキルを学びたい人
講座例パソコン講座、休職中の保育士が復帰するための講座など

出典:実践訓練(基礎コース)東京労働局

〈実践コース〉

受講対象者基礎コースよりも、実践的なスキルや転職活動に有利な資格を取りたい人
講座例Webサイト制作、スマホアプリ開発、簿記会計、介護、ネイルなど

出典:実践訓練(実践コース)東京労働局

職業訓練コースの分類

職業訓練は「失業保険を受給している求職者」を主に対象にしたものとそれ以外のものに分類されます。失業保険の受給の有無は、在職時に一定期間以上雇用保険に加入していたかどうかによって変わってきます。

職業訓練を総称してハロートレーニングとも呼ばれます。ハロートレーニングと職業訓練は同じものです。「訓練」という語感が「つらい、厳しい」といったイメージを与え敬遠されやすいという懸念から「ハロートレーニング」という愛称が用いられることとなりました。

<公共職業訓練コース>

公共職業訓練とは、主に「失業保険を受給している求職者」を対象にした訓練・講座のことを指します。

講座を通して、就職のためのスキルや知識を習得することが可能です。テキスト代などは自己負担ですが、受講自体は無料で受けられます。失業保険を受け取りながら、新たな職に就くためのスキルを身につけることができる制度です。またあくまで失業保険受給者を「主な対象」としているわけなので、失業保険を給付していない方でも、公共職業訓練を受けることは可能です。

<求職者支援訓練コース>

先に述べた公共職業訓練は、失業保険を受給している方を対象としたものでした。一方、失業保険の給付を受けてない方に向けた職業訓練もあります。その1つが求職者支援訓練です。失業保険の受給が終了した方も対象となります。

主に民間が行っている職業訓練校で、離職者訓練と同様、就職に必要な知識・スキルを習得するために無料で実施されています。

求職者支援訓練には、「雇用保険被保険者・雇用保険受給資格者ではない」「就労の意思と能力がある」「ハローワークに求職の申し込みをしている」「職業訓練が必要だとハローワークが認めた」などの受講要件が定められています。

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資格取得や転職に役立つ職業訓練コース

介護コース

介護系の職業訓練では、1ヶ月程度で取れる「介護職員初任者研修」という資格が有名です。

介護施設などで働いたことがなくても、130時間の講義を受けて試験に合格すれば介護職員として働くことができるようになります。

高齢化によってお年寄りが増えている現状もあり、介護系のお仕事は今後ますます必要になってきますので、介護系の資格をもっていれば働き口には困ることはまずないでしょう。

また「介護職員初任者研修」をもっていると、介護系で唯一の国の資格、「介護福祉士」をとるために必要な実務者研修が、450時間から320時間に減るというメリットもあります。

医療事務コース

医療事務とは病院・クリニックにおける医療費の計算や、患者への対応をするお仕事に必要な資格です。医療費は国で定められた方法で計算する必要があり、専門性が高いお仕事となっています。

この資格は短期間で取れて一生使うことができるほか、ブランクがあってもお仕事に復帰しやすくなっているため、女性にもおすすめの資格となっています。

WEBデザイン(HTML・Photoshop・Illustratorなど)

ネットビジネス業界で必須となる技術と知識を習得する。HTML5・CSS3・Javascript 各言語の習得。
高機能エディタとショッピングカートプログラムを使ったショッピングサイトの構築。Photoshop・
Illustrator によるコンテンツ制作。著作権を中心とする知的財産権の理解。ネット販売にかかわるネットマーケティングの基礎知識を習得。

プログラミング(Java・C言語など)

システム業界でニーズの高い Javaプログラミングを一から学ぶと共に、コミュニケーション、ビジネスマナーなど技術者に必要なヒューマンスキルを身につけることにより、システム開発現場で将来的に活躍できる人材を育成します。

CAD製図(機械加工CAD・住宅設計建築CADなど)

機械加工(旋盤、フライス盤、NC旋盤、マシニングセンタなど)、機械製図、2次元CAD及び3次元CADに関する知識及び技能・技術を習得します。

CADソフトを利用した木造住宅設計図面の作成、建築3Dシミュレーションソフト(3Dマイホームデザイナー)を利用した住環境計画のシミュレーション及びCG作成などに必要な技能・技術及び知識を習得します。

パソコン(Word・Excelなど)

事務職に必要なワープロソフト(Word)と表計算ソフト(Excel)の知識や技能を習得するとともに、Microsoft Office Specialist 試験(ワード・エクセル)などを取得目標とし、あわせてビジネス資料作成能力・オンライン業務の基礎能力を習得し、総務・営業・販売などの事務職につける人材を育成します。

地域資源観光コース・不動産宅建コース・園芸コース・ネイルコース

各労働局では、地域経済で必要とされる人材育成のためのコースも開催されています。

このサイトでも、各地域の特徴あるコース情報を順次掲載していきます。

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職業訓練コース受講の申し込み方法は?

職業訓練コースを受けるまでの流れ

(1)ハローワークで職員と相談
(2)どのコースにするか検討&施設見学
(3)ハローワークへ申し込み
(4)選考試験を受ける→合格者が定員より多い場合は抽選
(5)合格手続きをする
(6)訓練校へ入学

ハローワーク内でやること

・職業訓練校への申し込み

ハローワークの中に職業訓練に申し込むための用紙がありますので、職業訓練を受けることが決まったら、申込書に記入して提出します。受講料などの関係で給付金を受け取りたい場合は、同時に手続きをします。

・申し込む前にハロワ職員に相談を

職業訓練では資格をとるためにある程度の期間学校へ通うことになりますので、「本当に必要な訓練なのか」「受ける必要があるのか」ということを確認しておく必要があります。

また職業訓練を受ける目的をはっきりさせておくことは、「~~するためにこの資格が必要だから、取らないといけない」といった資格勉強のモチベーションにもなります。

またハローワーク職員は講座の紹介や受講あっせんなども行ってくれるほか、希望する訓練学校の応募状況なども教えてくれるため、「職業訓練を受けたい」と思ったらまず相談するのが良いでしょう。

職業訓練受講中の失業保険や給付金制度

公共職業訓練を受講する場合の、失業保険とその他手当

ハローワークで行う「職業相談」の中で、再就職をするために公共職業訓練等を受講することが必要であると認められた場合は、安定所長がその訓練の受講を「指示」することがあります。この場合には、訓練期間中に失業保険の所定給付日数が終了しても、訓練が終了する日まで引き続き基本手当が支給されます。なお、訓練の受講指示は、原則として所定給付日数内の支給残日数が一定以上ある時点で行うこととしています。

また、訓練受講に要する費用として、「受講手当」、「通所手当」などが支給されます。

受講手当について

受講手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に支給されます。支給の対象となるのは、基本手当の支給の対象となる日のうち公共職業訓練等を受けた日です。

受講手当の日額は500円です。受講手当の受講期間中の上限額は20,000円です。(500円 X 40日 = 20,000円で終了ですので、最初の2ヶ月間ほどの特別な手当です。)

通所手当について

通所手当は、受給資格者の住所又は居所から公共職業訓練等を行う施設へ通所するために交通機関、自動車等を利用する場合に支給されます。(鉄道やバスの定期や、自動車のガソリン代です。)

通所手当の月額は通所方法によりますが、最高42,500円までです。支給対象にならない日がある月については日割により減額して支給されます。

ちなみに、通学定期は1年以上の職業訓練のみに適用されます。3か月や6ヶ月など1年未満の学科の方は学割が適用されませんので通勤定期になります。

寄宿手当について

寄宿手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために、家族と別居して寄宿する場合に支給されます。

対象となる期間は公共職業訓練等を受けている期間のうち上記家族と別居して寄宿していた期間です。寄宿手当の月額は10,700円です。受給資格者が家族と別居して寄宿していない日等、支給対象とならない日がある月については日割により減額して支給されます。

失業保険を受給できない方のための給付金(求職者支援制度)

求職者支援訓練は、離職して失業保険を受給できない方、収入が一定額以下の在職者の方などが、給付金を受給しながら受講する訓練です。また、給付金の支給要件を満たさない方であっても、無料の職業訓練は受講できます。(失業保険を受給中の方でも、定員内であれば求職者支援訓練を受講できることがあります。)

給付金の支給額

訓練を受講している期間について、1か月ごとに職業訓練受講給付金(訓練受講手当、通所手当、寄宿手当)を支給があります。

訓練受講手当月10万円
訓練を受講している期間について、1か月ごとに支給します
(例:3か月の訓練の場合の支給額:10万円×3月=30万円)
通所手当訓練施設へ通所する場合の定期乗車券などの額(月上限42,500円)
寄宿手当月10,700円
同居の配偶者、子および父母と別居して寄宿
(訓練施設に付属する宿泊施設やアパートなど入居)する場合で、
通所のための往復所要時間が4時間以上など、住居の変更が必要と
ハローワークが認める場合に支給があります。

職業訓練受講給付金とは

職業訓練受講給付金とは「ハローワークに求職の申込みをしている」かつ「雇用保険を受給していない」方が対象の制度です。

求職者支援訓練を受講することが前提で、以下の条件を満たした方がもらえるお金です。

  • 本人収入が月8万円以下
  • 世帯全体の収入が月25万円(年収300万円)以下
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
  • 現在住んでいる所以外に土地・建物を所有していない
  • 訓練実施日に全て出席(やむを得ない理由がある場合でも、支給申請の対象となる訓練期間の8割以上出席している)
  • 同世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
  • 過去3年以内に、偽りその他の不正の行為により、特定の給付金の支給をうけたことがない

条件は厳しい

職業訓練受講給付金は、月に10万円もの手当と、加えて交通費が支給されるので、失業保険を受け取れない人にとっては生活面で非常に支えとなる制度でしょう。
しかし受給のための条件はかなり厳しいと言えます。申請には上記の要件を満たすことが条件であり、さらに講座には必ず出席しなければならず、遅刻や早退、欠席が1回でもあると支給されなくなります。

もちろん正当な理由があれば全体の出席の8割まで休むことは認められていますが、その際は必ず証明書類が必要になります。

経済的な条件はもとより、勤勉さや真面目に出席する事も評価対象とされているのです。